雨読夜話

裁判長!ここは懲役4年でどうすか
裁判長!ここは懲役4年でどうすか

文藝春秋
北尾 トロ

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フリーライターの著者が、裁判所の傍聴へ行った際に体験した
裁判における人間模様を赤裸々に語っているノンフィクション。

口では反省しているといいながら、着ているトレーナーに
ドクロマークがついていて説得力が全くない被告人や、傍聴席に
女子高生がいるとやたら張り切ってしまう裁判官、なぜか裁判を
引き延ばしたがる弁護士といった言ってみれば主要人物の他、
多彩な証人達、裁判傍聴マニア、裁判所前で抗議活動をする人など
色々な人々がヘタなイラストと共に生き生きと描かれていて面白い。

事件もオウム事件や音羽幼女殺害事件といった新聞の一面に載るような
事件から痴漢、窃盗、食い逃げといった軽犯罪にいたるまでバラエティ
豊かな取り合わせで、特に一見地味な事件になるほど関係者の人間関係や
人生がにじみ出てきて興味深い。

国民に認められていることでもあるし、暇な時に一度くらいは裁判を
傍聴してみようかと思ってしまった。

コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2006年10月01日

昭和天皇の「極秘指令」
昭和天皇の「極秘指令」

講談社
平野 貞夫

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昭和51年のロッキード国会において、核拡散防止条約の国会での批准が
正式に可決された。
混乱した国会でこれまでもめてきた重要案件がなぜかすんなり通った裏には、
昭和天皇の意向が働いていたとしている本。
著者は現参議院議員で、当時衆議院議長だった前尾繁三郎の秘書だったとのこと。

本書によると、前尾が昭和天皇に奏上した際に何度も核防条約の批准について質問を
受けたため、天皇は強く早期批准を望まれていると感じ、混乱した国会を衆議院議長として
正常化し、条約批准に持ち込んだというもの。

ただし、著者が前尾さんの元秘書で民主党所属の現参議院議員ということを考慮し
それなりに割り引いて考える必要がある。

とりあえず、結論は書かれた時の小泉政権への批判で終わっていたのはいかにもと
いう感じであまり面白くはなかった。

コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2006年09月19日

エプソン―「挑戦」と「共生」の遺伝子
エプソン―「挑戦」と「共生」の遺伝子

実業之日本社
加藤 良平

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現在プリンタメーカー大手として知られるセイコーエプソンの、プリンタ事業立ち上げや
クオーツ式の時計開発について責任者たちにプロジェクトX風にインタビューした
ノンフィクション。

もともと第2精工舎の子会社だった時計メーカーの諏訪精工舎で、東京オリンピックで
採用するタイムの計測機器としてクオーツ式の時計を開発すること、また当時需要が
あるかどうかもわからなかったプリンタ開発事業を立ち上げた点など、エプソン販売の
社長等を歴任した土橋廣光氏や他数人にインタビューしている。

当時誤差が少ない時計の製造方式として、音叉式が米国の会社で開発されていたが、その
会社は特許権をたてに他への公開を許さなかった。そのため音叉式ではなく、水晶に
電気を当てた振動によるクオーツ式で開発することにし、結果的にクオーツ式の時計が
音叉式の時計を駆逐したのには感嘆した。
この経験から、エプソンではユーザーの利便性を第1に考え、技術の公開を恐れずに行い
正々堂々とした競争を行っているのは評価すべき点だと思った。

また、土橋氏は中国に最初に工場を本格的に進出し、人件費や市場の面だけでなく、
中国的な発想を加えることによる相乗効果を構想していたのはすごい。結局土橋氏は
中国政府から日本人としては初めて「国際名人」(中国に貢献した人を称える賞)を
受けている。

いいことばかり書きすぎているような気がしないでもないが、早くから環境保護に着目し
フロン全廃を3年半で行ったりするエプソンはすごい会社と思った。
個人的には仕事でレーザープリンタのリコール対応に追われた少々不快な記憶があるが、
通販で購入したエプソンダイレクトのパソコンはカスタマイズの幅が広く、また快調に
利用できているので結構評価している。

あと、土橋氏率いるプリンタ部隊が、ノリが良くてイケイケで、しかも上層部の言うことを
あまり聞かない点を指して、経営陣の1人が”関東軍”と陰口を叩いたというのが
笑ってしまった。

コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2006年09月17日

「国鉄マン」がつくった日韓航路
「国鉄マン」がつくった日韓航路―俺たちのプロジェクト「ビートル」物語

日本経済新聞社
渋田 哲也

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JR九州が運行する、日韓航路をつなぐ高速船・ビートルが軌道に乗るまでの
経緯を描いたノンフィクション。

ビートルの事業部ができたのはいいが、当然配属された人たちは鉄道のことしか
知らない人たちばかりであり、やったことのない高速船の運営をやることとなり
かなりの苦労を強いられる。また、ビートルがゆれないということを顧客に理解
してもらうことに手間取ったり、事故や不具合も発生するなど多くの問題が
発生する。

また、当初は博多−平戸−長崎航路と博多−釜山の2航路があり平戸航路の方が
利益は出ていたものの、平戸航路は将来性がないという理由で、あまり儲かって
いなかった釜山航路のみに絞るという大きな賭けに出ることになった。

これが結果として当たり、博多−釜山間はそれまで日航機が多かった状態から、
ビートルが多くを占めるという状態にまで持っていったのは多くの方々の絶え間ない
努力の賜物だと結構感動した。

コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2006年07月27日

オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える
オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える

集英社インターナショナル
木村 元彦

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サッカーJ1のジェフユナイテッド市原・千葉の監督として多大な功績を残し
日本代表監督就任が決定的なイビチャ・オシムを扱ったノンフィクション。
試合後の記者会見で彼が語るコメントは深い意味があり、オシム語録として
知られる。

本書は彼や周囲の人物へのインタビューをもとに、オシムという人物の
これまでの生き様や指導方法について書かれている。

分裂前のユーゴスラビア最後の監督として指揮を取り、激しくなっていく
民族マスコミからのバッシングや、ホームなのにブーイングを浴びるといった
逆風にもかかわらず、イタリアでのワールドカップでベスト8に導いた
ことは並大抵のことではない。
さらにその後発生したユーゴ内戦では奥さんがサラエボ包囲に巻き込まれて
生き別れとなり、数年間連絡が取れなくなるという試練を受けている。

その後ギリシアやオーストリアのクラブ監督を歴任し、2003年に日本の
ジェフ市原(現千葉)の祖母井GMの熱心なオファーに応える形で監督に
就任、その後のジェフの躍進は周知の通り。
阿部や羽生、坂本、巻、佐藤勇人といった選手を厳しい指導で鍛え上げ、
試合中臨機応変にポジションチェンジを行い、互いを信じて走るという
攻撃サッカーを実現している。

本書の中でオシムは東京オリンピックの際に選手として来日して、日本に
好印象を持ったことが書かれており、今回千葉との契約が残っているという
問題があるにもかかわらず日本代表監督を受ける意欲を見せているのは
そうした日本への好意があるからではないかと思った。

クラブチームの監督を契約期間中なのに強奪同然に引き抜くという
川淵キャプテンをはじめとする日本サッカー協会のやり方は極めて問題だし
ジェフは協会へ補償を求める権利があると思うが、それはそれとして
オシムが日本代表をどのようなチームにしていくかかなり興味がある。

近頃読んだノンフィクションでは最も面白かったといっていい。

コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2006年07月07日

京都 影の権力者たち
京都 影の権力者たち

講談社
読売新聞京都総局

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高僧、家元、共産党など、一見目立たない京都の権力者たちの実態を
描いたノンフィクション。

タイトルからは裏で行われる悪口が出てくるような印象を持ったが、
実際は彼らの実態を淡々と描いている。

全体的にはあまり関係のない世界の話であるため入り込みにくかったが、
高僧、家元、共産党については割と面白かった。

コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2005年12月04日

ソースネクストの重大疑惑
ソースネクストの重大疑惑―
パソコンソフトウエア株式会社 業務上横領、詐欺、有印私文章偽造、特別背任…驚愕の


雷韻出版

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ソースネクストのソフトはいくつか購入したが、その中で出来が悪く使いづらいと
と感じるソフトが少なからずあった。
特に1980円シリーズになってからのものはほとんどがはずれだったような気がする

確かに安いのだが、他社の古いソフトの再販売のようなものや、1年間しかライセンスが
有効でないなど、いいものを安くではなく、所詮安物ソフトといったところだ。

書店でこの本を見つけた時は、あまりに納得できそうなタイトルだったため
思わず即買いしてしまった。
読んでいくと松田憲幸社長と里美夫人、そして悪徳弁護士(と言われても仕方ない)の
藤勝氏が数々の悪事を働いてきたことが列挙されており、予想以上の悪人ぶり。

当初の引きを受けた恩人といえるSSIの財産を罠にはめて強奪したことに始まり、
ソフト開発元への巨額の未払い、警察や訴訟を悪用した他社への執拗な攻撃、
脱税や消費者を騙す誇大広告と、よくもまあこれだけやりたい放題やって
上場しようとした(現在もやる気)ものだ。
この本の内容が仮に誇大に、例えば5割り増しに表現しているとしても明らかに
まずいだろう。

悪事のやり方は片棒を担いだ人のうちに遊びに行ってメールを削除したり、
他社を誹謗中傷する文書を小売店に送りつけて商品を置かせないように圧力を
かけたり、取引を打ち切ったIBMに対してはダンピングを行うなど一つ一つは
かなりせこいものも多い。
しかしそれを毎回大々的に行う効果は絶大で、他社を陥れることでのし上がって
きたということがよく分かる。関わった企業はほとんどが痛い目にあったのでは
ないだろうか。

5章に出てくるソフトの誇大広告に関する部分には、「ゼンリンデータコム
デジタル全国地図」が出てくるが、私も買って騙されたと感じるくちである。
「地図ソフト」と書いてあればソフトの中にその時点での全国地図データが
入っていると思うものだが、このソフトはインターネットでダウンロードして
使用するソフト、要するに地図専用ブラウザだった。
こんなものと分かっていれば1980円も出して買わない。
インターネットに接続できる場合は、それくらい自分で検索して調べるぞ。

「携快電話」の6000円くらいのものはそこそこ使えてはいるが、会社について
ここまで知ってしまうと、もうソースネクストの商品は買わない(多分)。
コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2005年01月17日

プロ野球「人生の選択」
プロ野球「人生の選択」

広済堂出版

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現在多くの問題を抱えているプロ野球。その中で選手として、監督として
あるいは構成としてどのような選択をして、どのような結果になったかなどを
多くの例を挙げて書かれた本。

前田智徳に落合といった天才から「進化する怪物」松井秀喜、そして西本、高津、
星野伸之、元木、あるいは大森など多くのプロ野球選手への分析とインタビューが
出てきて入り込みやすい。

巨人に異常にこだわった大森という選手は覚えているが、確かに巨人というのを
取ったらあまり印象に残らない選手であった。現在は巨人のスカウトか。

また、広島時代は全く大したことなくてヤンキースで盗塁王を取ったソリアーノは
広島のコーチから”足が遅くて使えない”と酷評されていた話があり、指導者が
変われば選手は化けるということが実感として分かった。
ヤンキースのコーチが良かったのか、あるいは広島の・・・

二宮さんはプロ野球OB解説者などと違って比較的冷静かつ理論的にスポーツを
語っていくので非常に分かりやすい。
コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2005年01月11日

東京アウトサイダーズ―東京アンダーワールド〈2〉
東京アウトサイダーズ―東京アンダーワールド〈2〉

角川書店
ロバート ホワイティング, Robert Whiting, 松井 みどり

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前作のニック・ザペッティのように東京のヤミ社会で大儲けをした
人物の活躍が次々と描かれている。
テレビで紹介されていたアメリカ空軍のエースパイロット”ジョナサン・
クヒオ”を名乗って結婚詐欺を働いた日本人のおじさんや、
湘南の資産家の息子にイギリス人女性が殺害されたルーシー・ブラックマン事件も
出ており、前作よりも身近な事件も多く取り上げられていて面白かった。
(”クヒオ”は熱狂的巨人ファンで、巨人が負けてて
あまりに荒れてるのを怪しまれて素性がバレた。笑える)

東京が悪徳に満ちているから不良外人が多く来るのか、
不良外人が多く来た結果として東京が悪徳に満ちた街に
なったのかという卵と鶏の関係のような問題だが、
これについては筆者が断じているように、どうも
前者のようである。
筆者によると、失われた10年の不況は”ヤクザ不況”で
あるらしい。ヤクザの懐具合がアメリカの株式と
連動していると言うのがおかしいような腹立たしいような・・・

ただ、ニックという主人公を中心としている分、前作の方が
面白いと思う。今作は話のまとまりという点でいまいちかな。
コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2004年03月29日

東京アンダーワールド
東京アンダーワールド

角川書店
ロバート ホワイティング, Robert Whiting, 松井 みどり

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終戦直後に連合軍のGIとして日本に来て、
「東京のマフィア・ボス」と呼ばれるまでに東京の裏社会を牛耳った
ニコラ・ザペッティ(通称ニック)の生涯を描いたノンフィクション。

戦後の混乱期からバブル期まで、政治家や企業のような表社会と
やくざなどの裏社会の関わりが次々とニックの視点を通して
述べられていく。
関わった人物も力道山にハマコー、田中角栄といった大物が登場し
次から次に事件が起こっていく。

ニックが基本的に儲けたのは終戦直後に六本木で開いた”ニコラス”という
ピザ専門店の経営だったが、作家の椎名誠が若い頃バイトしていたのが
そのニコラスだったと思う。
ま、安全でうまい料理を適正な値段で食わせてくれれば少々経営者が
問題のある人物でも文句はないかな。

印象的なのは、抱えている裁判を有利に進めるために米国籍を捨てて
(前科だらけなのに裏口を使って)日本国籍を取得したこと、
しかも何のためらいもなしに。
米国に戻るときの入国手続きを「単なる事務手続き」と言い切ってしまうあたり
ニックはさすが大物だと思った。
コメント(0) | Track back(0) | 読書−ノンフィクション | 2004年03月12日






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